飲食店を新規開業またはリニューアルする際、内装工事の費用は大きな負担となります。
店舗の規模やコンセプトによって差はあるものの、一般的に開業費用のうち、内装費用が半分以上を占めることも少なくありません。
その内訳は主に「デザイン設計費」「内装・設備工事費」「設備・備品購入費」の3つに大別されます。
それぞれの項目にどのような費用が含まれるのか、事前に把握しておくことで、適切な見積もり判断ができ、予算オーバーを防ぐことが可能になります。
Contents
内装工事費用の主な内訳と相場感
1. デザイン設計費:店舗の世界観を形にする初期投資
デザイン設計費は、内装の方向性や図面作成に関わる費用です。
飲食店の業態・コンセプトに合わせて設計士やデザイナーが店舗の空間デザインを構築します。
- 相場:10万円〜100万円程度
- 含まれる内容:平面図・立面図・設備図・パース作成など
- 補足:設計のみを行う「設計事務所」もあれば、設計から施工まで行う「設計施工一体型業者」もあります
2. 内装・設備工事費:最も大きなコストがかかる本体工事
実際に施工が行われる工事費で、工事全体の中でも特に高額になりやすい部分です。
工事項目 | 内容例 | 費用相場の目安 |
---|---|---|
クロス貼り工事 | 壁紙の仕上げ | 1,000〜1,500円/㎡ |
タイル貼り工事 | 厨房やトイレなどの床・壁仕上げ | 8,000〜15,000円/㎡ |
左官工事 | 壁面・床の下地処理 | 3,000〜8,000円/㎡ |
塗装工事 | 天井や壁の塗装 | 1,200〜2,500円/㎡ |
防水工事 | 厨房・トイレ・バルコニー等 | 8,000〜15,000円/㎡ |
大工工事 | 軽量鉄骨やボード貼り、カウンター造作等 | 20万〜100万円以上/全体 |
建具工事 | 扉・引き戸・パーテーションなど | 5万〜30万円程度/箇所 |
電気工事 | 照明・スイッチ・分電盤・配線 | 20万〜50万円程度 |
空調工事 | 業務用エアコン設置・換気扇 | 30万〜100万円程度 |
水道工事 | シンク・トイレ・給排水管の設置 | 20万〜80万円程度 |
これらの工事は施工内容が複雑で、使用する素材や機器のグレードによって価格が大きく変動します。
3. 設備・備品購入費:運営に必要な什器・機器類
店舗の運営に不可欠な調理機器、家具、什器などの購入・設置にかかる費用です。
- 厨房機器(冷蔵庫、製氷機、フライヤーなど):100万〜400万円程度
- 客席用テーブル・椅子:1脚1〜5万円程度
- レジスター・券売機・POSレジ:20万〜100万円以上
- 食器棚・カウンター収納:10万〜50万円
中古品の活用やリースの導入で費用を抑えることも可能です。厨房機器は高額なため、慎重に選定しましょう。
業種別に見る内装工事費用の相場比較
飲食業の中でも業態によって必要な設備が異なるため、内装工事の費用感にも違いがあります。
以下は業態別の坪単価相場の目安です。
業態 | スケルトン物件(坪単価) | 居抜き物件(坪単価) |
---|---|---|
カフェ・バー | 60〜90万円 | 45〜75万円 |
レストラン | 75〜105万円 | 45〜75万円 |
焼肉店 | 78〜104万円 | 52〜78万円 |
和食店 | 78〜104万円 | 40〜78万円 |
※厨房が大きく、火力や排煙設備の必要な焼肉店や居酒屋は工事費が高額になる傾向があります。
見積もりを取る際に確認すべきポイント
内装工事の見積もりは、単に金額だけで比較するのではなく、内容の明細や範囲が明確に記載されているかどうかが重要です。
- 予算の上限を伝えることで、業者側も最適な提案がしやすくなる
- 希望の設備・材質・工期などの要望は明確に整理しておく
- 設備個数やグレード、設置場所まで明記された見積書を依頼する
- ヒアリングや見積もり作成に費用がかかる場合は事前に確認
- 見積もり作成の所要日数も聞いておく
複数社から相見積もりを取り、比較・交渉することが予算コントロールの鍵になります。
まとめ:飲食店の内装工事は内訳ごとにしっかり把握しよう
飲食店の内装工事費用は、「デザイン設計」「内装・設備工事」「備品・機器購入」の3つが柱です。
これらの費用は業態や物件の状態により大きく異なるため、内訳を理解した上での適切な見積もり取得が成功の鍵となります。
- 見積書は金額より「内訳の明確さ」を重視
- 坪単価を目安に、業態ごとの相場感を知っておく
- 設備や什器の選定で、コストダウンが可能
まずは複数業者への相談から始め、納得のいく店舗づくりに繋げましょう。