飲食店の開業やリニューアルにおいて、厨房工事は必要不可欠な要素です。
しかし、多くの飲食店オーナーが驚くのは、その工事費用の高さです。
厨房は、単なる調理スペースではなく、水道・ガス・排気・排煙・電気といった多種多様な設備が必要になるため、他の内装工事に比べて費用がかさむ傾向にあります。
また、火や油、水を扱う場所であるため、安全性や衛生面への配慮も欠かせません。これらの条件を満たすには、専門的な技術と設備が必要となり、それが費用にも反映されるのです。
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業態別|厨房工事の坪単価相場を比較
厨房工事の費用は、業態や調理方法によって大きく異なります。以下は、主な飲食業態ごとの坪単価の目安です。
業態 | 坪単価の目安 | 特徴・補足 |
---|---|---|
カフェ | 約20万円/坪 | 簡易な調理機器、給排水や電気の設置中心 |
レストラン | 約30万円/坪 | 加熱機器、冷蔵庫、食洗機など設備が増える |
和食店 | 約40万円/坪 | 生鮮品管理や複雑な調理工程、和風造作あり |
焼肉店 | 約50万円/坪以上 | 強力な排煙設備、無煙ロースターが必要 |
居酒屋 | 約60~80万円/坪 | 多品目対応の厨房、設備の数が多く広い空間が必要 |
飲食店の形態が変われば、厨房に求められる性能・設備も変わるため、業態に合った予算組みが極めて重要です。
厨房工事費用に影響する要素を整理しよう
同じ広さでも厨房工事費用は大きく変動します。
その要因を知っておくことで、より的確な予算組みが可能になります。
店舗の広さとグレード
当然ながら、広い店舗では配管や設備が増え、費用も上がります。
また、高級レストランなどで高機能な厨房設備や造作を求めると、坪単価も高くなります。
居抜き物件かスケルトン物件か
- 居抜き物件:既存のガス・水道・排気設備が活用できるため、施工範囲が限定され、費用を抑えやすい
- スケルトン物件:一から設備を設ける必要があり、工事範囲が広がるためコスト増
設備内容と設計の複雑さ
- 空調・排気・排煙:特に焼肉店や揚げ物中心の店舗では、強力なダクト・換気設備が必須
- 給排水・電気:厨房機器の数に比例して配線・配管の工事が複雑化
- 消火設備:法律により業態によっては設置義務あり
造作・撤去・クリーニング費用
既存設備の解体や撤去、厨房床の補修や清掃も見積もりに含まれる場合があります。
これらは見落とされがちですが、10万〜50万円程度の追加費用になることもあります。
厨房工事費用の算出方法|予算感をつかむための計算式
厨房工事の費用は、以下のように坪単価をベースに概算できます。
厨房工事費 = 坪単価 × 厨房スペースの坪数
例えば、坪単価40万円の和食店で、厨房が8坪ある場合:
- 40万円 × 8坪 = 約320万円
ただしこれはあくまで目安であり、実際には設計内容や設備仕様に応じて増減します。
さらに、施工業者の地域やスケジュール状況によっても変わるため、必ず現地調査と詳細見積もりを依頼するようにしましょう。
厨房工事を行う際の注意点とポイント
厨房工事では、「使いやすさ」「安全性」「メンテナンス性」を意識することが重要です。
見た目や価格だけで決めてしまうと、後からトラブルの原因になることもあります。
業態に合った厨房レイアウトを検討する
カフェと居酒屋では、調理工程・動線・必要設備がまったく異なります。
業態に合わせた設計をしなければ、厨房が非効率になり、営業に支障が出るリスクがあります。
設備選びは「必要最低限+将来性」を見据える
初期費用を抑えようとして安価な機器を選ぶと、後々メンテナンスコストや買い替えが必要になります。
信頼できる厨房メーカーや中古機器の保証制度なども視野に入れましょう。
施工業者選びは実績と相見積もりがカギ
厨房工事は専門性が高いため、飲食店に特化した施工実績を持つ業者に依頼するのが安心です。
相見積もりをとって内容や工期、保証の有無なども比較検討しましょう。
まとめ|厨房工事は業態に合わせて計画的に進めよう
飲食店の厨房工事は、設備の質と安全性に直結する重要な工事です。
その費用は決して安くはありませんが、業態・物件条件・設備要件に応じて、しっかりとした見積もりと設計計画を立てることが成功のカギとなります。
- 坪単価の目安:20万円(カフェ)〜80万円(居酒屋)
- 居抜きとスケルトンで数百万単位の差が出る
- 排煙や排気設備の有無によっても大きく変動
厨房は「店舗の心臓部」。
妥協せずに、理想と現実のバランスを取りながら、計画的に工事を進めましょう。