飲食店の開業やリニューアルを検討する際、避けて通れないのが「店舗工事」の見積もりです。店舗工事とは、内装・厨房・空調・水道・電気など、飲食店として営業可能な空間を作るための工事全般を指します。
特に飲食店は、水や火、油を多く使う業態であるため、安全性や耐久性を考慮した工事が必要で、そのぶん一般的な店舗よりも工事費用が高くなる傾向にあります。
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見積もりの相場はどのくらい?坪単価で見る費用感
飲食店の店舗工事費用は、坪単価で計算されることが一般的です。相場はおおよそ20万円〜80万円/坪ですが、業態や物件の状態によって大きく異なります。
業態・物件タイプ | 坪単価の目安 |
---|---|
カフェ・バー(スケルトン) | 60〜90万円/坪 |
カフェ・バー(居抜き) | 45〜75万円/坪 |
レストラン(スケルトン) | 75〜105万円/坪 |
レストラン(居抜き) | 45〜75万円/坪 |
焼肉店(スケルトン) | 78〜104万円/坪 |
焼肉店(居抜き) | 52〜78万円/坪 |
和食店(スケルトン) | 78〜104万円/坪 |
和食店(居抜き) | 40〜78万円/坪 |
※スケルトン物件は、内装がすべて撤去された状態のため、設備の一からの構築が必要であり、費用が高くなります。
見積もりの内訳|店舗工事の費用構成を知る
店舗工事の見積もりには、大きく分けて以下の3つの費用が含まれます。
1. デザイン設計費
◆店舗コンセプトに沿った内装デザイン、レイアウト設計にかかる費用
平面図・展開図・イメージパースなどの作成
相場:10万〜100万円程度
2. 内装・設備工事費
◆壁や天井の造作、塗装、クロス、電気・水道・空調・ガス工事
造作家具や間仕切り、厨房区画の施工も含む
相場:総工費の6〜7割程度を占める
3. 設備・備品購入費
◆厨房機器(コンロ・冷蔵庫・食洗機など)、テーブル・椅子、レジ、照明器具など
必要に応じて中古品やリースの活用も可能
相場:50万〜500万円程度(店舗規模による)
見積もりを依頼する前に準備すべきポイント
見積もりの精度を上げ、無駄なやり取りを減らすために、以下の情報を整理しておきましょう。
1. 予算の概要を伝える
「〜万円以内で収めたい」など、明確な数字を出すと、業者側も最適な提案が可能になります。
2. 希望や要望に優先順位をつける
「厨房を広くしたい」「個室を設けたい」など、実現したい要素に順位をつけておくと、削るべきところの判断がしやすくなります。
3. 工期や納期を共有する
オープン予定日から逆算し、無理のないスケジュールで施工してもらうことが大切です。
4. 設備や材質の明細を確認する
使用する建材、厨房機器のスペック、コンセントの位置など、具体的な記載があるか確認しましょう。
見積もり書でチェックすべき重要ポイント
見積もり書は、単に「総額」を見るだけでなく、以下の項目ごとに精査する必要があります。
項目 | チェックポイント例 |
---|---|
工事項目の記載 | 「一式」だけでなく、詳細明細があるか |
材料・設備 | 型番や仕様、数量が具体的に書かれているか |
工期 | 着工日と完了予定日が明記されているか |
保証・アフター | 工事後の不具合に対応する保証があるか |
諸経費 | 設計料、管理費、運搬費などの計上が妥当か |
見積もり時によくあるトラブルと対策
飲食店の店舗工事では、見積もり段階での認識のズレがトラブルを招くことがあります。
よくあるトラブル例
◆「一式」表記の内容に含まれていない工事が後から追加費用になる
◆オープン予定に間に合わない
◆想定より工事範囲が狭く、再工事が必要に
トラブル回避のポイント
◆契約前に「工事範囲・仕様・保証内容」を文書で残す
◆複数の業者から相見積もりを取り、金額だけでなく内容で比較する
◆工程表を提出してもらい、進捗を見える化する
見積もりで費用を抑えるための工夫とアイデア
予算オーバーを避けるために、次のような工夫が役立ちます。
◆居抜き物件の活用:既存の厨房・内装を一部流用することで、大幅なコストカットが可能
◆中古・リースの厨房機器:新品と比べて50%以上安くなる場合も
◆シンプルな内装にする:間接照明や造作を減らし、ベースは最小限に
◆支給品を活用:施主支給による家具・照明などで費用調整
まとめ:店舗工事の見積もりは「内訳の見える化」と「複数比較」が鍵
飲食店の店舗工事見積もりは、単なる金額確認ではなく、お店づくりの計画そのものを形にする第一歩です。
◆業態や物件の状態によって坪単価は20〜80万円と幅広い
◆内訳(設計・工事・設備)を把握することで費用管理がしやすくなる
◆見積もりは3社以上に依頼して、比較・相談・検討を繰り返す
納得できるお店づくりのために、まずは見積もりの読み方をしっかりマスターし、信頼できる業者と二人三脚で進めていきましょう。